紙の魅力を考えていたら、滅びる為の創造とビジネスになった。

ペーパークラフトの事について数話お話したわけですけども、

服作りは構築的な事。で、ペーパークラフトへの話。

ペーパークラフトと飛び出す絵本で童心に帰る事にしたドキュメンタリー。


ペーパークラフトの製品化へのこだわり過ぎのコダワリ。


一連のものを作っていく中で感じていた事があり、それがビジネスとしても意味のあるものでした。

それは「儚さ」。

そして、「儚さ」を踏まえ相手にする事で生まれたビジネスの考え方。
仕事や作業の論理が変わったとも言えます。

儚さが仕事の一概念になるお話です。


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自分の中では紙で何かを作る事に日本の古典の世界を見ています。

元々古典が好きなのも手伝い、
「もののあはれ」や「栄枯盛衰」や「無常観」。

西洋ではメメントモリってとこですね。

平家物語は一番のお気に入りです。



紙で製作したものは、恐らくはいつか痛んでボロボロになるでしょう。
自身で製本したポートフォリオを眺めながら思ってもいました。

「いつかボロボロになるんだろうな。」

劣化や破損というよりも、自然のままに朽ちていく。

でもこう思ったんです。

「その時にこれの役目が終わる。その証。その引導。」


ボロボロになる事にも意味があって、決してそれは恥ずべき事ではない。


そこを考えて目指した時に、紙上等という潔さが生まれた感じです。
紙という素材に対しての心の準備というか。

皆さんが普段手にしている紙というものにも、そんなもう一つのコンセプトを見ていました。


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むしろボロボロになって欲しい。


ドS発言ではないですが(笑)。

自身の中での新たな視点として、
何に対しても、残す為に作る自分の役割を感じながらも、供養する為に生み出していく悟りのようなものが生まれました。逆説的に。

まるで、子供を育てる時に、「物の作り方を教えるよりも、物の壊し方を教えた方が良い」と言われるが如く。


どのように滅びていくか。

デザインは、本来は人の生活や感情に寄り添う。我々と同じように生き物なのかもしれません。



そう考える中で、
役目を終えて供養となる感覚の方に、矛盾やジレンマを感じながらもシフトする。
終わらせ方やその工程と歴史にシフトする。

何が矛盾やジレンマかというと、
自分がこの世から居なくなっても何かを残せるという事が、生み出す事の醍醐味でもあるのですが、それをわかって見つめながら滅びる為のデザインをする。


もしくはどう滅ぶべきか・どう滅ぶのを望むのかを想ってデザインする。


人間と同じくいつかは衰え滅びていく。
それこそが人と同化した人の為のデザインなのかなと思い始めた自分が当時居ました。


ファッションのデザインは体のデザイン。

必ず衰え、形を変え、滅びていく事と向き合いながらの、また必ず滅びていくものへのデザイン。

例えば、世間で揶揄されている事の一つでもあるのですが、
タトゥーに対して、歳を取ったら形が崩れるという世論もあります。

ただ、自分が思ったのは(彫師の方にも言った事があるのですが)、
そんな事を気にしているならやらない方がいいだけの話だし、自分はそれすらも含めて作品だと思う、と。

その時に、何かしらの理由の、役目が終わる。
そして、時間と生物の概念がある、と。

極論ですが、そんな事を言った記憶があります。

それらについて熟考するようになり、テーマにもなり、デザインする事への感性や視点が変わっていきました。

美学でもあり、具体的なビジネスの形にもなっていきます。

 

終わらせ方の指南。


滅びる為のデザイン。

語弊があるかもしれませんが、言い方を変えれば、その滅びる様こそも含めて作品・製品。

それは単に物理的な話であって、無責任な流行によって形を保ったまま風化していくとか、使い捨てという事ではありません。

朽ちていく様そのものです。

それが役目を終えるという事。
役割を担って全うしていく。

デザインする人間として、そのプロセスをも提供する使命を感じています。

作ったその後の事も想定して、今までよりももっと考えるようになる。
それは心を削りますが、間違いなくクオリティーがあがるし、人の感情への同化になる。


末永くを望みながらも、どのように滅びて使い古されるかに向き合う、そして伝えるかもプロの責任。
それと、純粋な希望として、見届けたいと願ってもいます。

より向き合いたい気持ちが、メンテナンスやアフターフォローの考えに行き着きました。

それ自体は特別な事はなくとも、それをしようとする自分の中のこれまで述べた確固たる概念が、ただのサービスの範囲ではなく、終わらせ方への付き合い方や指南となりました。

一つのブランディングへ。


 

時間。


ここで一句。

夏草や 兵どもが 夢の跡
松尾芭蕉 「奥の細道」 平泉にて

紙から古典の世界へ。
その後には、終わらせ方の美学へ。

随分と話が飛躍していきましたが、紙には意外な展開がありました。

ましてやこのようにして繋がっていくとは、自分でも予想していませんでした。
如何でしょうか?

滅びるという概念は、時間の概念でもあります。
時間をデザインする。

冒頭の一句は時間を詠んでいる。

それは3次元を超えた、4次元の世界。

クリエーションやデザインというものは、立体や平面とか、縦横高さだけで表現するものではなかった。
時間とも向き合っていく。

紙による儚さが、終わらせ方の美学を教えてくれた事は言うまでもありません。
紙に存在していたものは、創造の可能性だけでなく、その美学でもありました。


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